RHEL8とは?特徴と活用方法

用語集

はじめに

RHEL8(Red Hat Enterprise Linux 8)は、Red Hatが提供するエンタープライズ向けのLinuxディストリビューションです。高度なセキュリティ、安定性、パフォーマンスを備えており、企業のITインフラストラクチャにおいて広く利用されています。この記事では、RHEL8の基本、特徴、活用方法について詳しく解説します。


RHEL8とは?

RHEL8は、Red Hatが開発および提供するLinuxディストリビューションで、主にエンタープライズ環境での使用を目的としています。RHELの最新バージョンであるRHEL8は、モダンなアプリケーションのデプロイメントを簡素化し、効率的に管理するための多くの新機能と改善を含んでいます。

Red Hat Enterprise Linuxの歴史

Red Hatは1993年に設立され、1994年に最初のRed Hat Linuxをリリースしました。その後、エンタープライズ市場に焦点を当て、2002年にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)を導入しました。以来、RHELは多くの企業や組織に採用され、信頼性の高いサーバーOSとしての地位を確立しています。


RHEL8の特徴

RHEL8は、多くの新機能と改善点を備えています。以下に主要な特徴を紹介します。

1. モジュラー性

RHEL8は、モジュラー性を強化しています。これにより、異なるバージョンのソフトウェアを同じシステム上で共存させることができます。モジュラーリポジトリを使用することで、アプリケーションのバージョン管理が容易になり、柔軟な運用が可能です。

2. コックピット(Cockpit)

RHEL8には、サーバー管理用のウェブベースインターフェースであるコックピットが組み込まれています。コックピットを利用することで、システムの監視、設定変更、サービスの管理などを直感的に行うことができます。

3. パッケージ管理の改善

RHEL8は、従来のYUMに代わって新しいパッケージマネージャーであるDNFを導入しています。DNFは、依存関係の解決とパフォーマンスの改善を提供し、パッケージのインストールやアップデートを効率化します。

4. コンテナのサポート

RHEL8は、コンテナ技術に対するサポートを強化しています。Podman、Buildah、Skopeoといったツールを提供し、Dockerを使用せずにコンテナのビルド、管理、デプロイが可能です。これにより、セキュリティとパフォーマンスが向上します。

5. システムロール(System Roles)

RHEL8には、Ansibleベースのシステムロールが含まれています。これにより、一般的なシステム設定やタスクを自動化し、一貫性のある管理が可能になります。システムロールを使用することで、設定ミスを減らし、効率的な管理が実現します。


RHEL8の活用方法

RHEL8は、多様なエンタープライズ環境で活用されています。以下に具体的な活用方法を紹介します。

1. サーバーの運用

RHEL8は、高い安定性とセキュリティを提供するため、Webサーバー、データベースサーバー、ファイルサーバーなど、さまざまなサーバーの運用に最適です。Apache、Nginx、MySQL、PostgreSQLなどの主要なサーバーソフトウェアがサポートされています。

2. 仮想化環境の構築

RHEL8は、KVM(Kernel-based Virtual Machine)を使用した仮想化技術を提供しています。これにより、物理サーバー上に複数の仮想マシンを作成し、効率的にリソースを利用することができます。また、Red Hat Virtualizationとの連携も可能です。

3. コンテナベースのアプリケーションデプロイ

RHEL8は、コンテナ技術を活用したアプリケーションのデプロイメントに適しています。Podmanを使用することで、Dockerに依存せずにコンテナの管理が可能です。KubernetesやOpenShiftとの連携もスムーズに行えます。

4. DevOpsの実践

RHEL8は、Ansibleを使用した自動化とシステムロールを提供し、DevOpsプラクティスの実践を支援します。CI/CDパイプラインの構築やインフラのコード化が容易になり、効率的な開発・運用が実現します。

5. セキュリティの強化

RHEL8は、セキュリティ機能を強化しており、SELinux(Security-Enhanced Linux)やLinuxカーネルの強化モジュールを提供します。これにより、システムのセキュリティレベルを向上させ、コンプライアンス要件を満たすことができます。


RHEL8のメリット

1. 安定性と信頼性

RHEL8は、エンタープライズ環境での使用を前提に設計されており、高い安定性と信頼性を提供します。長期間のサポートと定期的なアップデートにより、システムの継続的な運用が可能です。

2. セキュリティの強化

RHEL8は、多層的なセキュリティ対策を提供し、システムの保護を強化します。SELinuxやファイアウォールの統合により、セキュリティリスクを最小限に抑えます。

3. 広範なサポート

Red Hatは、RHEL8に対して広範なサポートを提供しています。公式のドキュメントやトレーニングプログラム、エンタープライズサポートにより、企業のニーズに応じたサポートが受けられます。

4. エコシステムとの連携

RHEL8は、Red Hatのエコシステムと密接に連携しており、OpenShiftやAnsible、Red Hat Satelliteなどの製品とスムーズに統合できます。これにより、統合的なITインフラの構築が可能です。


RHEL8のデメリット

1. 学習曲線

RHEL8は、高度な機能を提供する一方で、学習曲線が急な場合があります。特にLinux初心者にとっては、初期設定や管理に時間がかかることがあります。

2. コスト

RHEL8は、エンタープライズ向けの商用製品であるため、ライセンスコストが発生します。中小企業や個人ユーザーにとっては、コストが高く感じられることがあります。

3. ベンダーロックイン

Red Hatのエコシステムに依存することで、他のLinuxディストリビューションへの移行が難しくなる場合があります。ベンダーロックインのリスクを考慮する必要があります。


まとめ

RHEL8(Red Hat Enterprise Linux 8)は、エンタープライズ向けに設計された高度なLinuxディストリビューションであり、高い安定性、セキュリティ、パフォーマンスを提供します。モジュラー性、コックピット、DNF、コンテナサポート、システムロールなどの多くの新機能と改善点が含まれており、企業のITインフラストラクチャにおいて幅広く活用されています。

RHEL8を導入することで、サーバーの運用、仮想化環境の構築、コンテナベースのアプリケーションデプロイ、DevOpsの実践、セキュリティの強化など、さまざまな用途で効果的に活用できます。導入にあたっては、適切な学習とサポートを受けながら、RHEL8のメリットを最大限に引き出しましょう。

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